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個人的お勧めノベルゲーム紹介!
メリークリスマスイブ、こんな素敵な日にはぜひこたつに籠ってゲームをしたいだろう!そういうわけでこの記事では私の独断に基づくお勧めノベルゲームを紹介していこう。ノベルゲームと聞いて、
「なんだかよくわからない…」
「ああ、エロゲね、はいはい」
「ちょっと敷居が高いかな」
という人も多くいると思う。しかしよく考えてみてほしいものだ、確かに今現在ノベルゲームはあまり一般的な趣味とは言えないかもしれない。だが数百年前、小説はどういう扱いを受けていただろうか?そう、今のノベルゲームと同様の扱いを受けていたのだ、知らんけど。つまり何が言いたいかというと、ノベルゲームは小説と同様に充分趣深い可能性に満ち足りたものであるということである。
さて、前置きはこの程度にして本題に入っていこう。本記事ではR18のノベルゲームをメインにランキング形式で紹介していこうと思う。というのもR18でないお勧めのノベルゲームには有名なものが多く今更自分が紹介するまでもないからである。ただ、いきなりR18はちょっと…という方のために一般向け作品も簡単には紹介しておこうと思う。
あ、書き忘れていたがこの記事は
CCS Advent Calendar 2017 - Adventar
の24日目の記事ということになっている。前日23日の記事は@here_1115さんの予定だがまだ投稿されておりませぬ。
明日25日はとっちーさんの記事の予定だ。
以下目次。
一般向け お勧めノベルゲーム厳選3作品、やって
・CLANNAD
公式サイトリンク
お勧め度:☆☆☆☆☆
人生:☆☆☆☆☆
泣ける:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
手軽さ:☆☆☆
言わずと知れた名作。CLANNADは人生。CLANNADは人生。大事なことなので2k(ry。ちょっと涙拭いてきていいか。
さて、真面目に紹介するとしよう。CLANNADがどういう話かを一言で説明すると、「家族」である。親、配偶者、子供、など様々な関係性の中に存在する家族愛についてがメインテーマとなっている。その「家族」や友人達と主人公である岡崎朋也の間で起こる成長、苦悩、葛藤、愛情の描画はまさに一つの人生を体現している。
たかがゲームでそんな凄いわけがないと思うかもしれない、しかし騙されたと思ってぜひ一度プレイしてほしい。アニメ版も放送されているので敷居はあまり高くはない。この作品が終わった後、必ず何か残るものがあることを保証する。とにかくやろう。
それと最後に一つ。時を刻む唄、というCLLANADの曲があるのだが全てを知った後で歌詞を読むと本当に泣けるのでやった人は確認して。
・STEINS;GATE
お勧め度:☆☆☆☆☆
牧瀬紅莉栖:☆☆☆☆☆
手軽さ:☆☆☆☆
こちらも言わずとしれた名作だろう。主人公岡部倫太郎は自称マッドサイエンティストの厨二病で、未来ガジェットと称して便利な?アイテムを日々制作していたのだがあることをきっかけにして事件に巻き込まれていく、というストーリーだ。
さて、このSTEINS;GATEの何が素晴らしいかというと、こちらもやはり主人公の心理描写がすさまじいところだ。岡部倫太郎はとても仲間思いのいい奴なのだがそれゆえに抱えることとなる苦悩や葛藤に向き合う様子、そんな岡部に寄り添ってくれる仲間に救われる様がよく伝わってくる。
失敗した失敗した失敗したのところなんてもう、うっ…………
まああまり詳しく書くとネタバレになってしまうのでこれ以上は語らないでおこう。これまたアニメ版が制作されており、そちらの出来も十分なのでぜひ自分の目でこの作品の素晴らしさを確認してほしい。OP曲である「Hacking to the Gate」の歌詞を全て終わった後に見てみると岡部の心情が痛いくらいに感じ取れてつらくなってくる…
・うみねこのなく頃に うみねこのなく頃に散
お勧め度:☆☆☆☆
考察の楽しさ:☆☆☆☆☆
手軽さ:☆☆
うみねこのなく頃には上記二作品と比べると内容を知っている人は減るかもしれない(いろいろと炎上していたことだけ知っている人は多いかもしれないが…)。しかしこれも少し人は選ぶがれっきとした名作である。以下簡単なあらすじ。
右代宮一族は年に一回、六軒島と呼ばれる右代宮家が私有している島に集まり親族会議を行っている。主人公右代宮戦人はとある事情からしばらく一族から離れており、18歳となった今6年ぶりに親族会議に参加することとなる。いとこと再会の喜びを交し合い、楽しい一時を過ごす戦人だったが、その裏では親族達による荒れた親族会議が進行していく。そんな最中嵐によって島が外界から断絶されてしまい、戦人は様々な謎と対峙していくことになる……。
といったような話である。ここまで読んで察したと思うが、普通に人が死ぬ上割と殺され方がえげつなく、耐性が低い人には少し厳しいと思ったのでお勧め度は☆4にしてある。もちろんそれを上回る良さはあるのだが…。うみねこのなく頃には8つのエピソードからなっており、1から4がうみねこのなく頃に、5から8はうみねこのなく頃に散となっている。前半4つが出題編で多くの謎が提示されるのに対して、後半の4つが解答編でそれらの謎を解き明かしていくという構成である。
さて、ではこの作品は何が素晴らしいのかについて語ろう。この作品のテーマを一言でいうなら「愛情」である。作品内でしばしば「愛がなければ視えない」という表現が出てくるのだが、それがこの作品を端的に表している。島で起こる事件の裏には様々な隠れた思いがあるのだが、しかしそれは一見して理解することができない。シナリオをすべて読み終わり考察した上に得られるその答えがわかった時、胸に沸き起こる悲しみ、切なさ、それでいてこれで良かったと思えるその感情は簡単に表すことが出来ない。ぜひこの感情を味わってみてもらいたい。
この作品はかの有名なアガサクリスティ著作「そして誰もいなくなった」をリスペクトしており、舞台設定など共通した部分がある。しかし一つだけ注意してほしいのは、うみねこのなく頃を普通の推理小説と同様のイメージを持ってプレイするとおや?となることである。詳しくは述べないが、推理もなにもあったものじゃない、と思えるような描写が多々現れるのだ。しかし、それらも演出の一貫であり全て意味があるものである。その点にだけ注意してプレイしてほしい。
うみねこのなく頃に、にもアニメ版があるのだが未完の上少々不親切な点があり、お勧めはできない(もともとこの作品が映像化に向いていないというのもある)。PS3、PCでプレイすることが出来るのでそちらをお勧めする。
最後にもう一つ余談だが、うみねこのなく頃にには海外の有志が作ってくれた英語化パッチが存在する。これはPC版のみだが、英語の勉強にもぜひ。
R18 お勧めノベルゲームランキングTOP3
ここまで一般向けノベルゲームを紹介してきた。どれも名作なのでぜひやってもらいたいところだが、全て有名な作品であったのでもう全部内容知ってるよ!という方も多くいたのではないだろうか?というわけでここからが本番、おそらく今から紹介する作品すべてプレイ済みという方はCCSにはあまりいないだろう。
R18と聞くと、ああ、エロゲなんだなという風に頭に思い浮かぶと思う。しかし、エロゲという分類の仕方は極めて雑なものである。それは言うなれば濡れ場があるからこの小説は官能小説だ、この映画はAVだ、と言っているようなものだ(ほんとか?)。確かに所謂「抜きゲー」と言われる致すためにそういったシーンを中心としたものも存在する。だがここで私が紹介するものは全てそれとはかけ離れたものだ。単に日常の一貫としてそういう行為も描く、逆に言うとそれは行動の当然の帰結として描かれていなければ不自然なのだ(確かに商売なので多少脚色はある)。この点に関してR18作品はより自由な表現をすることができる。まあだからこそ、読者を意識したような性描写入れられるとこれ無かったほうが作品としての完成度高かったろうな、と思うのだが。
これから紹介する作品は絵と音楽と巧な文章が組み合わさり、それは見事な芸術となっている。ぜひ、色眼鏡をはずしてみてほしい。人生観を問う作品が自分は好きなので、割と偏ってはいるが。前置きが長くなった、では3位からみてもらおう。
第三位
お勧め度:☆☆☆☆☆☆☆☆
グロ:なし、やったね!
主人公イケメン:☆☆☆☆☆☆☆☆
早速だがまずはこのPVを見てほしい、素晴らしい(語彙力)。さてまずは簡単なあらすじから。
「幸福の先への物語」
「それが虚無ならば虚無自信がこのとほりで
ある程度まではみんなに共通いたします」
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
みんなのおのおののなかのすべてですから)
『春と修羅』序
サクラノ芸術家が、絵画と共に残した詩の最後には、この様に刻まれていた。芸術家は死に、その後には、ありふれた人々の、ありふれた幸福の風景が広がる。
ふわふわの櫻の森で世界が鳴った
美しい音色で世界が鳴った
『櫻の詩』
春。世界的な芸術家である父の死により、天涯孤独となった主人公・草薙直哉は、親友である夏目圭の家へと世話になることになる。
そこには、直哉が通う学園の担任である夏目藍、圭の妹で女優の夏目雫との交流が待っていた。そして、新学期の到来と共に、遠い昔に転校した幼なじみ・御桜稟が、再び直哉の前に現れる。
風邪に巻く桜の花びらの向こう、それは、約束されていた再開の如くーー。
時の刻みが想いを重ね、感情の奔流が形になるとき、そこで出会う光景とは?
公式サイトより引用
ぱっと見てもらってなんとなくわかると思うが、この作品は終始「芸術」がかかわってくる。主人公の草薙直哉はもちろん、その周りには才能に満ち溢れた芸術家達が集まっている。日常会話にも過去の芸術家や、それに関わりの深い数学者や哲学者たちの言葉を引用したりしている(そんな高校生いるか?)。中原中也の『春日狂想』、宮沢賢治の『春と修羅』あたりは特によく引用されるので知っていると楽しみが増すかもしれない。
物語序盤は多くの情報が伏せられており、物語が進むごとに過去にあったことや、それぞれのキャラクターが胸に抱いている想いが浮かび上がってくる。
草薙直哉は自分を犠牲にしてでも周りの人間を救い続ける。そんな直哉に惹きつけられた人間達との想いの因果交流によって生まれる物語は波乱万丈のようであり、またそれはそれぞれの人間の日常でもある。
何のための芸術なのか、人生とはなんなのか、この作品は人の弱さにスポットライトを当てながら、哲学を問うてくる。
細かいテーマとしても同性愛などのディープなものも扱っており、非常に考えさせられるものとなっている(氷川さんと川内野の話は共感できる部分が多すぎた…)。
とまあ、ちょっと口で説明してもうまく伝えられないので、体験版をぜひやってみて欲しい。体験版では深い話までは踏み込まないものの、この作品のテーマをある程度伝えていると思う(体験版だと主人公たち青春しすぎて死にそうになるかも)。登場人物みんな頭良い会話してるのでプレイしてると頭良くなった気になれるよ。
天才であり平凡である直哉の人生を描いたこの作品はCLANNADに通ずるものを感じた。
第二位
お勧め度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
グロ要素:あるから注意
公式サイト、PVからして少しアレなので代わりにオーケストラで演奏してもらったOP「楽園の扉」の紹介。ほんと素晴らしい。
euphoriaと言えば今まで散々私が布教しようとしてきたものということでお馴染みであろう(?)。そうでなくても有名な作品であるかもしれない、ある意味では。そう、R18的な要素が少し過激であるとして、ネット上では広まっている。しかし、この作品の本質はそこではないのだ。確かにそういう要素があることは否定はしないが。とりあえず簡単なあらすじ。
目覚めると謎の白い部屋に閉じ込められていた高遠恵輔たち。皆がこの現状を理解することもできないまま不安だけがつのる。ますます張り詰めた空気になる一行だが、しばらくすると部屋の中に機械で作られたような合成音が響き始め——。
とまあ見るからに不穏な空気が漂っているのがわかる。実際に作中ではハードな描写が続き、そういうものに慣れている人でない限り見るのが辛くなってくるだろう。だが、その描写にも意味が込められており、ただ酷いだけなのではない。それを説明してしまうと完全なネタバレになってしまうので、詳しくは言えないが一つだけこの作品について言っておくとすると、それはこの物語は一つの純愛によって支えられているということである。そして、それは理不尽とも思える展開が進むごとに少しずつ明らかになっていく。点と点で示されていたものがラストで一気に面となり、その愛の全貌が姿を現す。
イタリア語で幸福感を表すeuphoriaというタイトルの通りこの物語は幸せとは何かということを突き付けてくる。それと共に生きるということの意味、自分を定義するものとは何か、そういう哲学が一つの愛情によって展開されていくのだ。愛の形は人それぞれで、時には理解できないようなものも存在するかもしれない、しかしそれは確かにその人をその人たらしめるものである。
長々と抽象的なことを語ったが(それしか語れることがない)、まとめると酷い描写もあるがその先にはちゃんと意味があるものが待ち受けているからぜひプレイしてほしい、ということだ。そういう物を受け付けない人でなければどうか最後まで読んでみてほしい。
第一位
・素晴らしき日々 ~不連続存在~
お勧め度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
哲学:☆☆☆☆☆☆☆☆☆
グロ:少し(というか前半が少しホラー気味)
さてこれも今まで同様OPを見てほしいのだが言っておく、これ以上ないほどのOP詐欺であるから注意(断言)。実はこの作品には主人公が3人いるのだが、最初の主人公は女性であったためほんわかした百合でも展開されるのだろうか、と思ってたら予想のはるか斜め上をゆく展開であった……
シナリオライターがサクラノ詩と同じであり、こちらの作品もまた偉人の言葉がよく引用されたりするのだが、特に哲学が深く関わってくる(どこの世界に純粋理性批判だの論理哲学論考を引用する高校生がいるだろうか)。さて、今回も例にもれずあらすじを紹介しよう。
Down the Rabbit-Hole
ある日、水上由岐は空からぬいぐるみが落ちてくるのを見る。
空に受理されるために投げられたという彼女のぬいぐるみは、何度か空に舞ったのか、所々痛んでいた。「空に受理される」それはこの街でいつからか言い伝えられる「空に帰る日」を探すための行為。それは世界そのものである少女と、空の少女が出会う場所で成就するという。
天の川をまたぐベガとアルタイル、織女星と彦星とも呼ばれる二つの星、それらに北十字星の頂の星デネブを加えた夏の大三角。それらは三位一体に例えられた聖なる図形と呼ばれる。
聖なる図形が天に輝く時に、世界と空は出会う。
その地点を探し続ける高島ざくろ、そして若槻鏡、若槻司、主人公の水上由岐をくわえた四人は空と世界、神なる三角が交わる場所を探す冒険を始める。
It's my own Invention
とある事件をきっかけに世界と自己との認識がズレ始める。認識のズレの先、彼は世界の限界の場所に救いを見出す。
Looking-glass Insects
二人の少女の戦いの話。彼女たちは文学と科学をつかい、現実と戦う。文学は強き意思、化学は物理世界に対する力。この二つだけが現実に対する彼女たちの武器となる。
Jabberwocky
破壊者であることを運命づけられた少年の話。彼は、調和する世界のために創造者を破壊しなければならない。
Which Dreamed It
兄を慕う少女。彼女はずっと兄との約束を信じて、向日葵の坂道の下で待っている。
JabberwockyⅡ
遠い世界の話。向日葵の坂道と、その先にある風景が語られる。
それぞれの物語は旋律。
それらの旋律はさらに大きな物語として共鳴してゆく……。
「空と世界」「終わりと始まり」「文学と化学」「救世主と英雄」「兄と妹」「向日葵と坂道」
言葉は旋律となる。
『素晴らしき日々』とはそういった物語。
以上、公式サイトからの引用。
この作品は哲学者であるヴィトゲンシュタインの考えが深くかかわってくる(というか私がヴィトゲンシュタインを好きになったのはこの作品の所為)。ヴィトゲンシュタインの著作『論理哲学論考』にはこう記されている。
世界の意味は、世界の外側に存在していなければならない。世界のうちでは、一切はあるがままにあり、起こるがままに起こる。世界のうちには、いかなる価値も存在しない。
この言葉は作中に何度か登場し、人生の意味とはという命題が投げかけられることになる。それに対するライターなりの解答が物語の最後に用意されているわけだが、この言葉の解釈はぜひ各自でおこなってみてほしい。
上で少し述べたが、この物語には3人の主人公が登場する。3人はそれぞれ密接なつながりがあり、物語が進むにつれてその謎が明らかになってくる。3人の関係、そして「私」と世界の関係。
私の限界が世界の限界である。
はて、難しすぎてなにがなにやら。
まあそれはさておきこの作品も人生観についてがテーマなわけで(それについての作品しかお勧めしてないな)。euphoria程ではないが少しつらい描写もある。人間というものの弱さを描くときそれを避けることは難しいのである程度はしょうがないものではあるのだ。これが一位なのは最もこのテーマに関しての完成度が高いと感じたのもあるが、euhporiaと比べるとより万人が受け入れやすいだろうということもある。ぜひこの作品をプレイして、あなたなりの答えを見つけてみてほしい。
はたしてジョバンニの見つけた答えはなんだったか。
それでは最後にヴィトゲンシュタインのある言葉を借りて終わりとしよう。
幸せに生きよ!
番外編
惜しくもTOP3にランクインすることはできなかったがそれでもやる価値のある作品の紹介だけをしておく。
・殻の少女シリーズ(殻の少女 虚の少女 第三部は未発売)
グロ要素:殺人事件などが起こる程度
切ない
推理要素あり
・G線上の魔王
ミステリー要素が多い
・CARNIVAL
地の文が独特でよい
徐々に回収される伏線
OP詐欺注意